漫画『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』、通称『チー付与』。
そのコミカライズ版が、特に第47話の公開をきっかけに、ネット上で凄まじい熱狂を生み出しました。
原作とは大きく異なるオリジナル展開、「半グレ編」のキャラクター「タケ」さんの結末は、なんJなどの掲示板を席巻しました。
「チー付与」の原作47話のなんJ・SNS・ネット民・偉人たちの声w
『チー付与』の第47話は、更新直後からX(旧Twitter)のトレンドを駆け上がり、なんJのスレッドは数えきれないほど乱立。
ここでは、ネットの海に溢れた様々な声を通して、その熱狂の正体を紐解いていきたいと思います。
「あ、これやっていいんだ」
『チー付与』47話がもたらした最大の衝撃は、「漫画の定石を覆した」ことへの驚きだったと思われます。
主人公が一切登場せず、敵役である「半グレ」の生き残り、タケさんの後日譚だけで1話を構成するという前代未聞の展開に、多くの読者が度肝を抜かれたのです。
「え、主人公どこ? まるまる敵の話やんけ」
「普通やらんやろこんなん…でも、めちゃくちゃ面白い。あ、これやっていいんだってなったわ」
原作からの大胆な改変を続けてきたコミカライズ版ですが、この47話でその自由な作風は頂点に達したと言えるかもしれません。
商業作品の枠組みの中で、これほど挑戦的で芸術性の高い表現が可能であることを見せつけ、「作り手の覚悟を感じた」という声も多く見られましたね。
第47話は、主人公が一切登場せず、敵対組織「半グレ」の生き残りであるタケのその後を描いた異色のエピソードです。
主人公たちとの戦いの末、半グレ集団は壊滅し、タケは唯一の生存者に。
仲間を全て失い、生きる目的を見失ったタケは、これまでの人生が「仲間がいるから楽しかった」のだと気づきますが、自身が持つテレポート能力はどこへでも行ける一方で、本当に帰りたい場所である仲間のもとへは二度と行けないという残酷な現実を突きつけられます。
絶望したタケは自死を選びますが、何度試みても死ぬことができません。
この不可解な現象を、神が自身に与えた「永遠に生き続ける」という罰だと解釈するようになります。
かつて神を信じなかった無法者のタケが、皮肉にもこの罰を通して神学を学び、神の実在を確信させられていく過程が描かれています。
「亜城木夢叶のリバーシ最終回公開後みたい」
47話公開後のネットの盛り上がりは、まるで人気漫画『バクマン。』の作中で、主人公コンビ「亜城木夢叶」が描いた漫画『リバーシ』の最終回が公開された後のようだと評されました。
「今のTL、完全にリバーシの最終回読んだ後のネットやん」
「考察スレの伸び方エグい。みんなタケの人生について語りまくっとる」
あらゆる人が作品について語りたくなり、感想や考察が次々と投稿され、それがまた新たな読者を生んでいく。
そんな熱狂の渦が生まれていたのです。
普段は斜に構えがちななんJでさえ、このお祭り騒ぎには素直に参加していたのが印象的でした。
一つの漫画の一つのエピソードが、これほどまでに大きな文化的なうねりを生み出すのは、本当に稀なことだと思います。
「どんぐりかわいい(´―`)」
ちょっと話は変わりますが、47話のような重厚でシリアスな展開が続く一方で、『チー付与』は読者の心を和ませるユーモアも忘れていないのです。
単行本のカバー裏に描かれた小さなどんぐりのイラストなど、作者の業務用餅さんの遊び心が見える部分も人気の一つですよね。
「本編との高低差で耳キーンなるわw 暗い話読んだ後にどんぐり見るとホッとする」
「あのどんぐりのために単行本買ってるまである」
47話の壮絶な物語を読んだ後だからこそ、こうした些細な部分に癒やしを見出す読者も多かったようです。
シリアスな本編と、ふとした瞬間に見せる可愛らしさのギャップが、作品の奥行きをさらに深めていると考えられます。
「しみじみと面白い漫画だな…」
47話の衝撃は一過性のものではありませんでした。
その後の第57話など、他のエピソードでも読者の心を鷲掴みにするような名作回が続いており、「この漫画の面白さは本物だ」という評価が定着していきました。
「47話がピークかと思ったら、普通に超えてくるから凄い」
「毎回ハードル上がってるのに、軽々飛び越えてくる。しみじみと面白い漫画だわ…」
一発屋で終わらない、安定したクオリティの高さが、『チー付与』を単なる話題作から、信頼できる傑作へと押し上げた要因なのですね。
読むたびに「面白い」と実感させてくれる、そんな作品だと思います。
「SNSって短い言葉主体で意図せぬ方向に反響が行く」
『チー付与』の爆発的な人気は、SNSでの口コミ効果がいかに大きいかを証明した事例でもあります。
47話は、「この話だけでも読んでほしい」「騙されたと思って47話を読んで」といった短い推薦文と共に、多くのユーザーによって拡散されました。
「47話だけ切り取られてバズったけど、1話から読まんと半グレの悲哀が分からんのよな」
「SNSの拡散力は諸刃の剣やけど、チー付与に関しては最高の形で作用したな」
短い言葉が人の心を動かし、意図せぬほどの大きな反響を呼ぶ。
SNSの特性がポジティブに働いた好例と言えるでしょう。
この口コミの連鎖がなければ、これほどの社会現象にはならなかったかもしれませんね。
「ウケ狙いでなんJ民作ってみたけど反響小さいw」
なんJでは、時事ネタや人気コンテンツを題材にしたコラ画像やネタ投稿が頻繁に行われます。
しかし、『チー付与』の話題に関しては、そうしたウケ狙いの投稿よりも、作品の内容について真剣に語るスレッドの方が大きな反響を呼んでいたようです。
「適当にコラ作って投下したけど全然伸びんかったわ。みんなガチで語りたいんやな」
「ネタにするにはテーマが重すぎるし、物語が強すぎるんよ」
これは、『チー付与』が単なる消費されるコンテンツではなく、読者一人ひとりが真剣に向き合い、考察したくなるほどの物語強度を持っていることの証明だと思われます。
軽薄なイジりでは済まされない、作品の持つ力がそうさせているのでしょう。
「これが半グレ編の決着回か…」
あれだけ激しい戦いを繰り広げた「半グレ編」の結末が、戦闘シーンではなく、生き残ったタケさんの静かで残酷な後日譚で締めくくられたことに、多くの読者は言葉を失いました。
激しい動の物語の後に、深い静の物語を描く。この構成の見事さが、47話を特別なものにしているのです。
「もっと派手に終わると思ってた。まさかこんな形で決着するとは…」
「最高の幕引きやろ。どのキャラも格落ちしてないし、タケの結末としてこれ以上ない」
派手なバトルで終わらせるのではなく、キャラクターの内面に深く潜っていくことで物語を締めくくりました。
「神はあんたの復讐よりも俺への罰を優先した」
自分を殺しに来た老婆に対し、タケさんは「あんたが俺を殺すことはできない。神がそれを許さないからだ」と語ります。
これは、神を信じなかった男が、自らの死ねない運命を通して神の存在を確信するに至る、圧巻のシーンですよね。
「このセリフは鳥肌立ったわ。神学的な深みが凄い」
「タケが救われないことで、結果的に老婆が殺人者にならずに済むっていう二重構造が見事すぎる」
単にタケさんの絶望を表すだけでなく、「復讐するは我にあり」という神学的なテーマを見事に物語へと昇華させています。
読者に善悪や罪と罰について深く考えさせる、非常に哲学的な名場面だと思います。
「暗殺の母、死んだ…増えた…」
『チー付与』のコミカライズ版の魅力を語る上で欠かせないのが、原作には登場しないオリジナルキャラクターの存在です。
圧倒的な強さと個性で読者に強烈なインパクトを与えた「暗殺の母」さんは、その筆頭でしょう。
作中で死亡した際には多くの読者が悲しんだのですが、物語はそれで終わりませんでした。
「母ちゃん死んで悲しかったのに、曾祖母とか叔母とか出てきて草。一族どんだけおんねん」
「死んだ…増えた…って感じでマジで意味わからんくて好きw」
強敵が死んだと思ったら、さらにその上を行く一族が登場。
この予想の斜め上を行く展開は、読者を飽きさせない本作のサービス精神の表れとも言えます。
この「何が起こるか分からない」というワクワク感が、『チー付与』の中毒性の一つなのですね。
「チー付与、胸焼けするほど面白い」
情報量の多さ、感情の起伏の激しさ、ギャグとシリアスの高低差。
『チー付与』は、読者のあらゆる感情を揺さぶってくる、非常にカロリーの高い作品です。
その濃密な読書体験を、多くのファンは「胸焼けするほど面白い」と表現しています。
「1話読んだだけでヘトヘトになる。面白すぎて胸焼けするわ」
「感情がジェットコースターみたいになるから、読むのに体力いるよなこの漫画」
嬉しい、楽しい、悲しい、切ない、面白い、怖い。
あらゆる感情が一度に押し寄せてくるような感覚は、他の作品ではなかなか味わえません。
この「胸焼け」こそが、本作が傑作であることの証左なのかもしれないですね。
「なろう系の皮を被ったHUNTER×HUNTER」
『チー付与』は、もともと小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されていた、いわゆる「なろう系」作品が原作です。
しかし、コミカライズ版、特に「半グレ編」以降の展開は、緻密な能力バトルや心理描写か『HUNTER×HUNTER』のようだと評されています。
「最初はよくある追放ざまぁ系かと思ってた。いつの間にかヨークシン編始まってたわ」
「なろう系の皮を被った何か。もはやジャンルが『チー付与』」
タイトルや序盤の雰囲気から「よくあるなろう系漫画」だと思って読み始めると、そのあまりのギャップに驚かされます。この良い意味での裏切りが、多くの読者を虜にしているのです。
「47話は短編映画」
47話の圧倒的な完成度を表現する言葉として、最も多く使われたのがこの「短編映画」という比喩でした。
たった1話の中に、一人の男の人生、罪と罰、そして救いのない救いが、見事な構成と演出で描き切られています。
「漫画読んでるはずなのに、エンドロールが見えた。完璧な短編映画だった」
「BGMもセリフもない、静寂の音が聞こえてくるようだった。アニメ化したら絶対BGM流さないでほしい」
漫画という媒体の可能性を極限まで追求したようなこのエピソードは、多くの読者の心に、一本の優れた映画を観た後のような深い感動と余韻を残したのです。




コメント